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防災【住宅の耐震補強設計事例その2】

 

 補強設計のポイントの一つにバランスの改善があげられます。ただ強くするだけではなく、耐力壁を平面的にバランス良く配置することも重要なのです。

 

偏心率

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住まいの健康診断 補強設計

 これは実際に耐震補強工事をした平屋建ての既存平面図です。補強設計で重要な構造のバランスとは地震力に対して抵抗する耐力壁が、平面的にいかにバランス良く均等配置されているかということで、その指標として偏心率という数値で各方向毎に現されます。詳しく説明すると、建物には重さの中心である重心(平面図内赤点で、その建物で不動の点)と構造の中心である剛心(平面図内白丸で壁の補強位置や強度により変動)がありその各々の点が近い程、良しとされ数値的には、重心から剛心まで各方向建物巾の15%以内であることが望ましいとされます。

偏心率

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 よって、壁量を充足しつつバランスを調整していくという手法で補強設計しますが、住宅の耐震補強は住まいながらの工事となる場合が多く、なるべく生活に支障をきたさずかつ工期を要さない位置でこのバランスをとっていくことが求められます。但し、どうしても生活中の部屋の壁を補強しなくてはならないケースが生じる場合は、充分な遮蔽(仮設の壁を造作)をし工事に臨みます。弊社が使用している構造ソフトでは灰色の中に剛心(白点)が入っていれば、偏心率15%以内となり、壁バランスが保たれていることとなります(↑図面参照)。 

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!