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防災【住宅の耐震補強設計事例その1】

 

 耐震診断を実施した住宅は次のステップとして、補強設計を行いますがその具体事例をあげながら、補強について考えていきましょう。

 

補強設計1階

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 これは昭和56年以前建築のある2階建て専用住宅の1階の補強設計図面です。診断ソフトにより表示方法は様々ですが、国交省認定ソフトの一例です。さてこの図面の見方ですが、地震力に対して抵抗し建物を倒壊から守るのはあくまでも壁です。その壁を強度別に色分け表示してあり、最も強い壁が青~黒表示となっていて、補強設計に基づき配置計画されています。次の二階図面を重ねると判りますが、2階建ての場合、1階の補強位置はなるべく2階構造ライン直下又は近くの壁を、不足する分量をバランス良く配置するのがポイントとなります。この事例の場合、東西方向(Ⅹ方向)に7箇所(以下7P)、南北方向(Y方向)に3Pの補強計画となっていますね。このことからX方向の強度が不足していることがわかります。一般的に日本の住宅は風通しや冬場南からの太陽光を得ようと、東西方向に大きな窓を有しておりこのような結果となることが多いようです。

補強設計2階

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 2階の補強が必要な壁は、X方向1ヶ所でY方向4ヶ所と、1階とは逆にY方向の壁が不足していました。地震力はどの方向から襲ってくるかわからないので、各方向共に、建物の重さや各床面積に応じて必要壁量を充足する必要があるため、このように両方向において検討しなくてはならないのです。こちらの住宅は補強壁の耐力を100%出す為、一部補強壁直下の基礎も鉄筋コンクリート補強しており、延べ3週間の工程と工事費用税別250万円を要しました。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!