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防災【住宅の耐震補強設計事例その6】

 

 今回は2階の構造軸線直下に補強可能な壁が存在しない場合の補強設計事例をみていきましょう。 

 

水平構面による力の伝達

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 平屋建ての補強設計は、外周部の壁をバランス良く補強していけば割に簡単に補強設計できますが、2階建ての場合は闇雲に壁量を増し基準値をクリアするだけでは良い補強設計とは言えません。この建物の場合、X方向の耐力がY方向より悪くかつ、2階(緑線)の南側X軸線直下の1階には地震発生時の2階荷重による横加力を受けとめる補強可能な壁が存在していませんでした。使い勝手上も耐震壁の新設はNGでした。このような場合は、縁側天井に構造用合板を用いた水平構面を天井裏の梁や桁の内側(黄色網掛部)に構築し、縁側西端の押入のX方向両サイドの壁を補強し、2階の横加力をこの水平構面を通じて補強壁に伝達させ補強します。旧耐震時代の建物は現在の建物のような総2階建ては少なく、大抵は図の様な載りの悪い(壁の直下率が悪い)建物が殆どで、このような補強設計も重要な事例の一つです。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!