一般的な木造軸組みの住宅は新築から数年経過すると、襖や障子の建付けが悪くなることがあります。その原因と対処方は?
ちょっと難しいですが、やれば出来る?
ご自宅の襖や障子に、建物に特に異常は無ないはずなのに写真のように建具(特に引き戸系)と枠や柱の下側に隙間が生じていませんか?当然新築時にはこの隙間はなかったはずですよね。これは経年変化で土台の乾燥収縮や柱に過度な荷重(上部階にある本棚等の重家具)がかかる事により、柱の土台へめり込り込み、または土台自体の乾燥収縮が主な原因なのです。この柱と共に敷居端部も一緒に下がり敷居中央部が取り残され盛り上り、結果的に建具が傾いてしまうのです。建具が変形したわけではありません。
ちょっと難しいですが、やれば出来る?
敷居の天端両端に水糸を張れば敷居中央が盛り上がっているのでその現象が理解できます。ではどのように建付調整すれば良いかですが、簡単な方法は隙間が生じていない側の建具の下をカンナで削ったり、調整用のパッキンを取付(隙間が生じている側に)したりして建具側で調整するのが簡単ですが、建具が変形した訳ではないので敷居を水平にするのが正論です。その場合は写真の様に敷居下のパッキン(木片)が2~3個設置してありますので一旦それを取り外し木片高さを調整(水糸をガイドに敷居が水平になるように)した上で再度設置します。この時敷居の跳ね上がり防止の為ビス留めをお勧めします。ただしこの方法は最低片側(両側和室が理想的)の部屋は和室で畳の部屋であることが条件です。
ちょっと難しいですが、やれば出来る?
すると、なんということでしょう?ご覧の通り新築時の状態に!
但し、この方法は掃き出し系で畳を上げることが出来る和室の建具(襖や障子)には適用できますが洋室の建具や和室であっても腰窓の場合では床や壁の解体復旧が絡んで大がかりになりますので、建具側で調整する方が良いでしょう。DIYは最初はある程度道具を必要とし、プロに頼んだ方が安くつく場合もありますが、建物を大切に扱う心を育むことが大切なのです。
なお、近年のアルミサッシや大手建材メーカー系の木質建具はこのような躯体側の変形をある程度想定しており、建具側で建付け調整が可能になっている場合が多く、取説でその調整方法をご確認ください。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!