リフォームとの関連性

インスペクション(建物診断)は実施すること自体が目的ではなく、建物の現状を知り対策を立てるために行うべきものです。インスペクション(建物診断)の結果、劣化事象を指摘されたなら、その改善に努める必要があります。ここでは、指摘された劣化事象とそれを改善するために実施されたリフォーム(補修工事)についてまとめています。

※以下の写真は補修前後のイメージを表します。同物件のものとは限りません。

外壁のクラック

クラックとは亀裂のことです。

木造住宅は、振動や風圧などの外力により変形が起きやすい構造物です。その結果、外壁にクラックが入ることがよくあります。

クラックは雨水浸入を誘引し、内部構造材の劣化を招く元凶になりかねません。

程度にもよりますが、発見した場合は、速やかに補修する必要があります。

 

 

 

一番簡単な補修方法は、コーキング剤の充填です。局部的な補修としては費用対効果が高い方法です。

ただ、クラックが全面に及ぶ場合や深い場合は、外壁のはがれに発展する可能性もあります。

このような場合には、外壁材を全面撤去して新規に再構築するという大掛かりなリフォーム工事も検討すべきでしょう。

(維持管理のガイドラインによると30年を目途に張り替えることを推奨しています。)

屋根からの雨漏れ

これは、屋根裏面を見上げたところですが、雨じみが広範囲に認められます。

場所にもよりますが、履歴が古い場合は台風時だけの吹込みと判断するケースもあります。

ただ今回の場合は、平葺き面で広範囲にわたっている点と築年数から判断して、屋根下地防水紙の劣化が懸念されました。

 

室内にまでは雨漏りの影響が無くても、小屋裏空間を確認することで雨漏りを発見することもあるのです。

陶器瓦の劣化は認められませんでしたので、一旦撤去し、防水紙等の下地を取り換えた後、再利用することになりました。

外壁同様、屋根も雨水浸入の危険性がある部位です。建物を長持ちさせたいなら、外部の補修工事にも力をいれるべきなのです。

これで、雨漏りが原因で腐食がすすんでいるかも…という不安を抱える心配がなくなりました。

基礎のクラック

乾燥収縮や外力によって、基礎の立上りにクラックが入ることがあります。

髪の毛ほどの微細なクラックであればさほど心配いりませんが、基礎強度に影響するほどの幅や深さがあるクラックの場合は補強が必要です。

屋内側の基礎立上りに重大なクラックが認められる場合は、専用の補修材で必ず補修します。

基礎の耐力不足により、建物全体の耐震性にも影響を及ぼす可能性があるからです。

使用する補修剤は、シール剤・注入剤ともに、信頼性の高い2液性です。溶剤単独では軟性を保ち、混合することで非常に強力な硬化が進みます。その硬さはコンクリートにも負けません。

強度を発揮するためには確実な施工も肝心です。専用の注入ガンと注入ノズルが適切な施工をアシストします。

梁の施工不良

屋根を支える梁が不揃いで、緊結されていません。

リフォームの際に上手に工事箇所に取り込み、補強するべきでしょう。

室内リフォームを計画する際には、できるだけスケルトン状態にして必要な補強を施します。

筋交いの設置

図面確認や打診、赤外線センサー等で筋交いの有無をチェックします。

新築時の計画書通りに設置されていないケースもあります。

(床下及び小屋裏進入調査を行えば、より正確な筋交い位置が確認できます。)

リフォーム計画に絡めて、耐震性能の向上も図ります。筋交いと耐震パネルを併用し、適材適所に収めていきます。

漏水事例

インスペクションをきっかけに漏水を発見した事例です。

漏水箇所の特定は二次的インスペクションに値する為、追加料金が発生しますが、漏水を放置しておくわけにはいきません。

建物は新築した瞬間から経年劣化が始まります。設備や内外装材だけにとどまらず、その劣化は配管材にも及ぶのです。

適切なメンテナンスと補修工事による維持管理が重要なのです。

漏水箇所の特定は根気のいる作業です。可能性の高い外部配管を掘り返し、漏水箇所を特定します。

古い配管を撤去し、新しい配管材で繋ぎ直します。

床の傾き

床に傾きが認められたケースです。

0.8%ですから、1m(1000mm)先が8mm沈んでいることになります。8帖の広さで言えば端から端まで約3cmの沈み込みです。

これは、生活に支障をきたすレベルですから、リフォームの際には下地による高さ調整をすべきでしょう。

傾いた床材を撤去し、床束(鋼製)、大引き、根太などの下地組で高さ調整を行います。

不同沈下が原因の場合、建物全体を水平にすることは不可能ですから、床だけを水平に保つことに注力します。

壁や柱の倒れは改善できませんが、建具は調整することで開閉を楽にすることができます。

 

※自宅リフォームの場合は仕方ありませんが、中古住宅を購入する場合は、このような傾きのある建物はあまりお勧めできません。

基礎の強度不足

基礎立上りの圧縮強度や鉄筋の有無を調査します。

無筋基礎などで強度不足の場合は、耐震性能の向上を考えて補強が必要になることがあります。


補強方法は、添え基礎の施工によります。

既存の無筋基礎に、有筋の基礎を緊結施工します。耐力を保持するためには底部の強化も必要ですから、底盤部も配筋を施しコンクリートを打設します。

 

※どんな古い家でも耐震補強の方法はありますが、補強工事のウエイトが高すぎると購入自体が負担になりますのでお勧めできません。古すぎる家は難ありです。

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