令和3年は全国的に20日程度も早い梅雨に入り例年のごとく大雨が予想され、ご自宅の雨漏れの心配をされている方も多いのではないでしょうか?
どこから雨漏れ?
とある2階建て住宅の1階の和室柱です。どうやら雨漏れを起こしているようです。
では原因は?となりますが、雨漏れは①屋根自体(バルコニーも含み)、②屋根と壁の取合い、③壁、④サッシ廻り(天窓も含む)、など様々ですが、意外にも屋根自体から漏ることは少なく
②から④の取合いからの場合が多いようです。
調査
原因(雨水浸入箇所の特定)調査は散水による雨の再現をし、浸入可能ならば雨漏れしている直上の屋根裏に入り状況を確認します。
漏水ヶ所発見
先ほどの散水試験ではまず最初に瓦部分のみに散水しましたが、その時点では漏水しませんでした。次に屋根ではなく2階の壁に散水したところ、漏水が起こりました。写真の屋根野地板の漏水跡も壁際のみに発生しており、明らかに2階壁と屋根の取合い、いわゆる雨押え板金廻りで漏水していると判明しました。
防水処理
写真は別現場の補修状況ですが、屋根の壁際に施工するこの雨押え板金は、本来異なる構成部材(この場合は屋根と壁)の接続部分の防水の為にあるものなんですが、この板金の壁(特にモルタル壁の場合が多い)の中に立ち上げた部分とモルタルとの接着面に、浸透圧による水の吸い上げ現象が発生し結果的に雨漏れの原因となるのです。新築当時は外壁塗装の防水幕が板金に密着している為、雨水の浸入をブロックしてくれますが、経年劣化でその塗膜が切れることにより雨漏れが発生したのです。
対策は?
結局のところ、外壁(モルタル)と雨押え板金の隙間からの雨水の吸い上げが原因なので、そこに防水シールを施工することにより解決します。参考までに、近年の建物は外壁がサイディングと呼ばれる板状のもので施工されることが多く、工法上雨押え板金と壁との間は密閉されず、通気の為の隙間が設けられていますので、浸透圧による雨水の吸い上げ現象はおこらなくなっています。ですから総二階建てではない下家のあるモルタル外壁の建物は、この点を踏まえて点検してみられてはいかがでしょうか。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!