【福岡発】中古住宅を購入するなら、まずは耐震性能の確保を!

地震はいつも突然に!だからこそ耐震化が叫ばれているのです。

昨今の地球温暖化の影響により、台風・豪雨等の自然災害による被害が拡大し続けています。将来に向け、自然災害が頻発することが予想される中、自助という観点から、住宅における災害対策もより重要になると考えられています。

このような背景をうけ、㈱住環境研究所は昨年5月に、防災意識に関する調査結果を発表しました。5 年以内に戸建持家を取得した方で被災経験がある方、および住宅取得計画者で被災経験がある方1403人を対象に、災害についての実態を調査し、今後の災害に備える住まいのあり方、求める性能は何かについて、まとめたものです。

 

調査結果を見ると、被災時に7割の人が停電を経験、4割の人は断水を経験しています。災害別にみる停電を経験した人の割合は、地震被害:85%、水害被害:69%、台風被害:69%となっており、いずれの災害においても、電気の供給に関しては影響が及ぶ可能性が高いことが見てとれます。同じく、断水に関しては、地震被害:64%、水害被害:43%、台風被害:29%となっています。地震被害を受けた場合は、ダブルパンチに見舞われる人が半数以上にも及ぶことがうかがえます。

 

災害時に困ったことに関するアンケートでは、「家の片付け、掃除」26.6%、「停電、計画停電などで自宅の電気が使えない」25.7%、「食料の入手」25.0%、「飲み水の入手」23.3%、「自宅の水洗トイレが使えない」23.2%という結果に。断水経験者はトイレや飲み水の項目が、停電経験者は「停電・計画停電」の項目を選択する割合が高くなったようです。ライフラインが止まり実際に困った経験があると、対策の必要性を痛感することがわかります。食料、飲み水、簡易トイレなど、備えることで何とかなりそうなことも。経験者の声に耳を傾け、防災意識を高めて行動に移すことが大切だと思います。

 

では、住宅取得計画者が要望する住まいの性能についてはどうでしょう。地震対策に関するものが上位を占めており、「倒壊しない強固な構造」78.2%、「揺れによる室内の被害を抑える配慮がある」74.8%となっています。水害も台風も、地震同様怖い自然災害には間違いありませんが、天気予報などである程度予測でき備える時間も取ることができます。でも、地震はいつやってくるのか予測ができません。だからこそ、被災経験者で住宅取得を計画している人たちは、地震対策に関心が高いのでしょう。

 

しかし、実際の市場には、耐震性能が確保されていない物件がたくさん存在します。古いものほど脆弱であることは間違いありませんが、築年数だけでは語れないものがあります。また、構造躯体の改善よりも、内装や設備機器の更新が優先される傾向も未だ根強いものがあります。 

 

一見綺麗に見える買取再販物件は、特に注意が必要!

売り物件には、現状のままで売られる物件と、リフォーム済みの状態で売られる物件の二種類があります。リフォームをするにはお金がかかりますので、売れるか売れないかわからないものに先行投資をするというのは、例え「リフォームして見栄えをよくすれば高く売れますよ!」と言われても、一般個人の売主さんの発想としてはないと思います。では、リフォーム済み物件は誰が売っているのか?それは、買取再販業者と言われる不動産会社です。 

 

これは、自らが購入した中古住宅にリフォームを施し再度売却するという、いわば、不動産のリサイクル業です。この手法は、建物の品質が比較的安定しているマンションで採用されることが多いのですが、戸建て住宅でもリフォーム済み物件が流通していることがあります。

 

ただ、木造住宅の建築に30年以上携わってきた私たちからすると、リフォームというよりも、表面的に綺麗になったことで割安感を演出する営業手法のように見えます。リフォームとは端的に言うと、古くなったり悪くなったりしたところを良い状態に戻すこと。確かに内外装や設備機器は新しくなっていますが、本当にリフォームの検討をすべきなのは構造や外皮(屋根・外壁・窓など)であり、これらの方が工事の優先順位は高いはず。なのに、それらの部位を積極的にリフォームした買取再販物件にお目にかかったことがありません。 

 

ここで、売る方の視点で考えてみましょう。会社としては利益を上げることが目的なので、まずは仕入れにあたる物件購入に際し、できるだけ安く買い取ることを考えます。個人間売買ではなかなか売れない物件や、所有者も持て余している空き家など、そのままの姿では売れそうもない物件を、市場より割安な価格で現金買取するのです。利益を確定するためにはスピードも必要です。売るための準備としてリフォームを急ぎます。構造や外皮のリフォームに時間を取られるようなことはできません。手っ取り早く、内装や設備をきれいにします。言ってみれば、彼らのリフォーム案のスタートは、「この物件はいくらで売り出せるか?人はいくらなら買うか?」という視点です。そこから利益を確保し、営業手法としての最低限のリフォームを施します。

 

買取再販物件の唯一のメリットは、「すぐに住める」という点だけです。内装と設備は新品ですから、一見すると新築のようですがそれは大きな勘違い!ハウスクリーニングされた賃貸物件ぐらいと考えるべきでしょう。せっかくマイホームを購入するのに、お仕着せのような内装材や設備機器に甘んじますか?耐震や省エネは現行基準に程遠いままの状態で、果たして快適に暮らせるでしょうか?割安に感じるそのお値段には、たっぷり彼らの利益も見込まれているのです。

 

まるでババ抜き!? 旧耐震マンションの行方

耐震基準が大きく変わったのは1981年、昭和で言うと56年のことでした。つまり、今から39年以上前に建てられたものは旧耐震と呼ばれており、古い耐震基準をかろうじて満たしているという状態、現在の耐震基準に照らして考えると、基準を大きく下回る危険な建物ということになります。

 

これが木造戸建住宅の話であれば、耐震診断の方法や補強工事の仕方は確立されたものがあるので、お金をかければ基準に適合させることができなくはないです。でも、マンションの場合はかなり困難になります。なぜか?マンションは、複数の住戸が集合した一個の建物です。自分の住戸だけを補強して、耐震基準に適合させればよいというわけにはいきません。また、各人の所有は壁の内側空間だけであり、構造体は居住者全員の共有物ということになっています。建物全体の工事を検討するためには、居住者による事前協議が必要なのですが、これがなかなか足並みが揃わず、耐震補強工事の実施には至らないことの方が多いのです。つまり、危険だとわかっていてもどうしようもない、放置状態ということです。そんな危険な物件を購入しますか?売主さんも、危険だからこそ住み替えるために売りに出しているのかもしれません。 

 

大事な家族を、そんな危ない住まいに引っ越しさせられませんよね!?でも、ちまたのポータルサイトでは当たり前のように築40年の中古マンションが掲載されています。売却希望価格は約600万、かなり古いものの駅近で便利は良さそうです。物件診断ソフトで診断してみました。「価格の妥当性」「流動性」「管理状況」には大きな問題はなさそうですが、「耐震性」と「住宅ローン減税」については、かなり低いスコアがついています。中古マンションの耐震補強は現実的ではありませんし、それがクリアできなければ、住宅ローン減税の道は閉ざされてしまいます。確かに価格が低いので住宅ローンを組まずとも現金で一括購入という道もあるかもしれませんが、そもそも買う価値はあるのでしょうか? 

 

ブログをはしご読みしていると、今から10年前に築30年で購入した中古マンションを売却するために、色々考えている人のブログに行き当たりました。築年数からして正に旧耐震!危険な状態を知ってか知らずか売りに出そうとしている…。どうやら売却の理由は子供の成長による手狭感。この人は購入当時に住宅ローンを組んだようですが、額が小さかったので既に完済済みのようです。アベノミクスの好影響か、不動産屋の査定金額も高めだったのでしょう。購入価格より高め設定で売りに出したようです。その後どうなったのでしょうか?続きが知りたいものの、ブログの更新がストップしているようで結果報告は今のところないようです。果たして10年前の中古マンション購入は、マイホーム取得の方法として成功だったのか…。 

 

あなたは、地震がきたら倒壊しそうな築40年の中古マンションを、買える金額だからといって買いますか? 見るからに危険な「ババ抜き」に、参加する必要はないのですよ!

 

本気でマイホーム購入を成功させたいなら、事前勉強が何よりも大切です!買主支援に特化した私たち「いえあーる」を是非お役立て下さい。

(「家を買う方法、間違ってないですか?」を読んでみる。)