耐震リフォームはやはり筋交よりもパネル?(耐震補強材の選択)

 

強度計算上の数値ではパネル系の耐震部材とあまり差のない筋交ですが、強い地震力(主に水平力)が加わった場合の粘り強さの無さや、繰り返し襲ってくる余震に接合部破断を起こし期待薄の筋交でしたが、対してパネル系の耐震部材はどうなんでしょうか?

 

被災建物応急危険度判定(赤:危険)

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住まいの健康診断 応急危険度判定

パネル系耐震部材の計算上の数値は、筋交に比べ多少上回ってはいますが、さほど高くはありません。ただし幾度となく襲ってくる余震の力を吸収分散し、粘り強く耐えてくれるという点ではパネル系耐震部材のほうが優秀なのです。

 写真は応急危険度判定により入ることを禁止された建物に貼られた標識です。長年住み慣れた家がこんな事になると本当に残念ですよね。そのようなことにならないようにする為にも耐震補強が急務とされています。

 今回はその耐震補強に使用する、パネル系耐震部材を見ていきましょう。

最新の耐震補強工事

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住まいの健康診断 壁の耐震化

 ここからはパネルによる耐震補強リフォームのお話です。

 生命と財産を守る為の耐震補強、とても重要なことですが、費用がいくらかかっても良い訳ではなく、その費用面でも筋交よりもパネルによる工事のほうが思わぬメリットがあるのです。写真は耐震パネルを施工するために必要な壁を片面解体した状態ですが、パネル補強ですとこの段階までの解体で施工が可能となります。対して筋交補強の場合は土台や梁などの上下横方向の構造材と柱とを接合させる必要があり、さらに床と天井の一部を解体しなくてはいけません。当然復旧に要する費用が耐震部材のコストの差以上にかさんできます、パネル系のメリットその2というわけです。

写真には新築時の筋交が写っていますが、元々旧基準で施工(接合部不良)されていますので、無視しその内側(手前側)にパネル補強をする場合やこの筋交も同時に補強し筋交+耐震パネルの合わせ技で補強する場合もあります。筋交+パネル+外壁(状態が良ければ)それぞれの三つの強度を合算して計算することもできます。

 

 

最新の耐震補強工事

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住まいの健康診断 壁の耐震化

壁の半分をくり抜いたあと、パネルを設置する為の専用の枠を組みます。施工する壁が外壁であれば写真のように断熱材を入れることも可能です。

 ここで注目!この木枠、上中下と三つに分かれててパネルも上中下と3層に分けて張り付けるんですが、この三層構造こそが地震力を上手く吸収し揺れが収まったらまた元に戻るという復元力を兼ね備えている優れ物です。わざと変形させていなす受け身のような構造なのです。筋交だとこのような事はできません。

最新の耐震補強工事(土壁編)

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住まいの健康診断 壁の耐震化

補強する壁が写真のように、土壁の場合反対側にも部屋があったりする場合は反対側壁を温存し土壁を半分削って木枠を組み補強する場合もあります。ただし計算上はこの土壁の耐力はカウントせず耐震パネルのみの計算になります。

このように木造住宅は一般的に柱の断面が約10cm程度ありその壁厚を利用してパネルを組み込んで耐震補強をします。

最新の耐震補強工事

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住まいの健康診断 壁の耐震化

耐震パネルを設置した状況がこちら。

写真は直角方向にも補強されてますね。

地震波はどの方向から来ても耐えられるように、その建物の各階の床面積や建物の重さ等を考慮し東西方向にも南北方向にも同じ量の壁耐力が規定されています。よってより弱い方向により多くの補強が必要になるのです。

 

最新の耐震補強工事

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住まいの健康診断 壁の耐震化

ここで参考までに壁をくり抜き補強が終わったら当然内装復旧しなくてはいけませんよね。

一般的に復旧といっても全く同じ材料は残っていませんから、写真のように若干の色・柄が違ってきます。

命を守る工事なんですからこの程度は良しとしなくてはいけません。どうしても気に入らないと言う場合は予算を出して部屋全体を模様替えするのも、いいでしょう。

パネル系補強では前に述べた通り、床と天井は既存のまま工事が完了してるのがわかりますね。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!